母とあちらこちらへ

自分のこと

今日は動物公園へ行ってきた。
天気は曇り。強い陽射しがないだけでもありがたい。
母と来るのは今回で3回目。今日は今まで行ったことのないエリアへ行ってみることにした。
歩行器を押しながら、急な坂道をえっちらおっちら登って「こどもの城」へ。

子どもじゃないけれど、ここには私も子どもの頃に来たことがある。その頃の記憶と今の景色を照らし合わせながら歩いてみる。
入ってすぐのところにカエルがいた。
募金をするとメロディーが流れるというので、少しだけ募金。するとちゃんとメロディーが流れた。
ほんの少しで申し訳ないような気もするけど……まあ、気持ちということで。

さらに奥へ進むと、大きな木があった。
これは昔からあったのかなあ。
時間になると木が目覚めて、森の音楽隊がメロディーを奏でるらしい。
小さな子どもたちには嬉しい仕掛けなのかもしれない。
でも私は、昔はもっと活気があったような気がして、少ししんみりした。
記憶の中の場所と、今の場所。
同じところなのに、時間が経つと見え方が変わる。

こどもの城を出て、今度は坂を下る。
売店近くのテーブルで、持ってきたお弁当を食べた。
自然の中で食べるお弁当は、それだけでちょっと美味しく感じる。
すると母が、
「まさか、あんたとこんなふうに自然を見ながら弁当食べるとは思わなかったよ」
と言った。
私も、
「私も定年まで会社にいるものだと思ってたよ」
と返した。
本当にそう。
こんなふうに母と平日に出かけて、お弁当を食べているなんて、少し前の私なら想像していなかった。

公園を出たあとは、母の杖を見にホームセンターへ。
最初のお店は、あまり気に入るものがなかった。
「これでいい」と適当に決められるのも困るので、次のお店へ。
さっきのお店でも「高いなあ」と思ったのに、今度のお店はもっと高い。
使うものだから、できれば納得して選びたい。
ところが母は、だんだん「わからない」「いらない」となってきた。
こうなると、選ぶこと自体が面倒になってしまう。
介護ベッドを借りている会社に電話して、杖のサンプルがあるか聞いてみると、あるとのこと。
ちょうどデイサービスと、介護認定が変わったことで契約をしに行く予定になっていたので、そのあと杖を見せてもらうことにした。
そしてデイサービス。
料金が高くなることは覚悟していた。
でも、想定していた以上に高かった。
なんなら、母の状態は良くなっていると思っていたのに。
思わず職員さんに、
「介護認定が上がって、悪くなったってことですよね。お金もこんなに上がるんですね……」
と、こぼしてしまった。
すると職員さんも、
「入所された時より良くなっていたので、私たちもびっくりしました」
と言ってくれた。
その言葉に、少し救われた。
母が良くなっていると感じてくれている人がいる。
それだけでも、なんとなく救われる。
……まあ、お金の問題は別だけど。
そして次は杖。
母は、面倒になってくると「もうどうでもいい」となってしまうタイプ。
母の気持ちをうまく汲み取って、選びやすいように調整する。
それも私の仕事なのだろう。
でも、こっちだって面倒くさい。
使うのは私じゃないから、どれが使いやすいのかはわからない。
本人が自分で決められなくなっていることも、老化のひとつなのかもしれない。
母のこと。
そして、自分のこと。
今まで私は、手帳をまめにつけるようなタイプではなかった。
でも、これからはそうも言っていられない。
何があったのか。
何をしたのか。
これから何をしなければならないのか。
きちんと整理して、ひとつずつ対応していかないといけない。
母の介護も、お金のことも、これからの自分のことも。
全部を完璧にできるわけじゃない。
それでも、今の私にできることをやる。
それが、今の私にできること。

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