憂鬱

父の月命日。
お墓の掃除に行ってきた。

朝は雨が降っていたので、どうしようかと思っていたけれど、しばらくすると雨がやんだ。
それなら行こう。

いつもより少し遅めのスタートになった。

母と一緒に出掛けるのは、正直ちょっと気が重い。

母が嫌いだから、というわけではない。
私がイライラしているからだ。

先日、デイサービスでの話を母としていた。

母は、おやつの時間に紅茶を飲んでいて、砂糖を入れてもらっているらしい。言い訳としては「入れますか?」と言われるから「お願いします」と言っているとのこと。そこは入れない一択だろうが。

デイサービスに行く日は、昼食もおやつも施設で出る。

私はもらった献立表を見ながら、母がその日にどれくらい栄養を摂るのか計算している。

カロリー、たんぱく質、カリウム、リン、塩分。

母は糖尿病から腎臓も悪くしている。そのため1日の摂取量が決められている。昼食は他の人と変わらないから多めになるので、毎回朝と夜で調整している。

そんな話をしていたわけではないけれど、母が「デイサービスのおやつが甘い」と言い出した。

最初は、

「甘いの好きだから、いいじゃない」

くらいの普通の会話だった。

ところが話を聞いているうちに、

「紅茶に砂糖も入れてもらってるから甘い」

と言い出した。

……はあ!?

なんでわざわざ血糖値を上げるようなことしてるの?

あんた、糖尿だよね?

そういうところだよ!

こっちは毎回、頭を抱えながら食事の計算をしているのに。

あまり質素だと可哀想だよなぁ。
ボリュームも無いと足らないよなぁ。
昼でタンパク質摂りすぎてるからおさえないとなぁ。

そうやって考えているのに、本人は何も分かっちゃいない。

もちろん、紅茶に入れる砂糖のカロリーなんて、たかが知れている。

そんなことは私だって分かっている。

砂糖を少し入れたからといって、それだけでどうこうなるわけじゃない。

たぶん私は、砂糖そのものに怒っているわけじゃない。

母の、そういう無神経なところにうんざりしているんだと思う。

私が怒り始めると、母が一言。

「言わなきゃよかった」

……。

そういうところなんだよ。

言わなきゃバレない。

言わなければ問題にならない。

そんなふうに考えること自体に、また呆れてしまう。

たったそれだけの、ほんの些細なこと。

他人から見たら、

「砂糖くらいいいじゃない」

で終わる話なのかもしれない。

でも、私にとっては、そういう小さなことが積み重なっていく。

そしてまた、裏切られた気持ちになり母に優しくできなくなる。

本当はもっと穏やかに接したい。

いちいち腹を立てずに、

「じゃあ次から砂糖は少なめにしようね」

くらいで済ませられたらいい。

自分でも、こんなことで怒るなんて未熟だと思う。

分かっている。

分かっているけど、それでも許せない。

介護って、こういう「他人から見ればどうでもいいようなこと」にまで心を削られるものなのかもしれない。

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